令和二年 司法試験 答案
最近、令和二年司法試験について、自宅作成の答案を眺めていました。
民法の第三問は、我ながら、よく頑張った、しかもよく出来たな、と思います。
自己満足として、この記事で、公開したいと思います。
でも、司法試験というのは、他に出来る人もいる試験であることを考えると、自分がそれなりに書けたことは、特段、珍しいことでは無い、といえます。冷静に考えると、そりゃそうです。
でもやっぱり、勉強を継続してきた当事者としては、嬉しいです。(ほくほく、って感じです♪)😊
以下、民法第三問 ーーーーーーーーーー
第四、設問3
1、
BのGに対する、契約③に基づく所有権移転登記手続請求が認められるためには、BE間の売買契約が有効(1)であり、かかる契約上の債務をFが相続したこと(2)が必要である。
2、
まず(1)について検討するに、FはEを代理して、Bとの契約③を締結しているが、FはE所有の丁土地の売買契約についてEから代理権を授与されておらず、契約③は、Fが無県代理人として締結したものであった。
このことから、契約③は、無効となるのが原則である。
また、土地の売買契約の締結は、通常夫婦間で他方の権利義務を分担するものではなく、日常家事債務ともいえないため(761条)日常家事債務の履行として有効にもならない。
もっとも、日常家事債務においても表見代理の趣旨を及ぼすべきであるため、761条に110条の趣旨を類推適用して、当該行為が外形的客観的に見て、一般人が日常家事債務と信用するにつき正当な理由があるといえる場合には、当該契約は有効となる。
3、
本問において、FはEの妻であり、Eの日常家事債務を負担するものである。
そしてFはEの委任状及び印鑑登録証明書をBに提示している。その上、Fは、Bに対して、Eが入院中であるため医療費が必要であり、Eの親族の了解も得ていることを語っている。
そして、Bは、FがEから丁土地の売却について代理権を授与されたと信じている。
かかる事情から、Bは、入院中のEが直接取引を行うことが出来ないため、Fが代理権をEから授与されたと信用したといえる。しかし、外形的客観的に見て、妻が入院中の夫の印鑑を勝手に使用して契約をしようとしているとも考えられ、Eに意識がある以上、契約③の意思を問うことは可能であったといえ、かかる確認をすべきであった。
したがって、一般人であるBがFの行為が日常家事債務であると信用するにつき正当な理由がある、といえない。
ゆえに、Fの締結した契約③は、無効である。
4、
(1)もっとも、無権代理人が本人を相続した場合の趣旨が妥当するとして、無権代理人の相続の場合の理論の類推適用により、BはGに対して無権代理人の責任として、契約③の履行請求としての、上記の所有権移転登記手続請求ができないか。
本問において、Gは確かにBの相続人の一人であるが、契約③を締結した者ではない。
よって、無権代理人の責任を負わないのが原則である。
(2)しかし、Gは、FからEの土地の売却を相談されて、賛成し、Fが契約③を締結するに至っている。ここでGは売却代金の一部を使わせてもらうことになっていた。また、FもEも日頃からGを頼りにしていた。そしてGは、かかる契約の締結に同席している。
このことから、実質的に、Gが契約③を主導したといえる。
かかるGには、無権代理人の責任としての責任を負わせるべきである。
(3)以上より、Bは、Gに対して契約③に基づく履行請求をすることが認められ、所有権移転登記手続請求が認められる。
以上