「シャーロックホームズ最後の挨拶」(byアーサー・コナン・ドイル)を読み終わって
短編集四冊のうち、もっとも初期に書かれた「シャーロックホームズの冒険」を読んだときには、設定が完成度が高くて読みやすい、と思ったものの、話の展開がワンパターンで、一度コツをつかむと書きやすそうだな、という印象をいだきました。
おこがましいことに、私も同種のパターンで書いてみよう、とも思ったくらいです。
最後に出された短編集である「シャーロックホームズ最後の挨拶」を読んだ際には、とても常人がたどり着けない域に達している、と思いました。
もちろんワトソンを語り手として、ホームズによる事件の解決が描かれる点は、一貫しています。
それでいて、犯罪のトリック、動機が深いのです。
詳細は、読んでからのお楽しみ、ですが、話の節々に当時のイギリスの時代背景や女王の存在感、そして国際情勢が、表れているのです。
このことは特に「ブルース・パーティントン型設計書」という話について、いえます。
推理小説というより、芸術作品、伝統工芸、に近い感じすらしました。
シャーロックホームズシリーズを短編として初めて出した年から20年が経過していました。
継続するって凄いことなんだな、と改めて実感しました。