就寝前の世界
私は、最近、寝付く前に一時間以上かかるようになりました。
それを知った世間一般の人は、「現代人に多い、不眠症ね。お気の毒に」と思うでしょう。
しかし、私は寝付くまでの間に、不思議な世界にいざなわれていることに気付いているのです。
それは一言で言うと、「壮大な物語の世界」です。
まだ作成していない物語の一端が、頭の中に押し寄せてくるのです。
とても魅力的で、それでいて誰にも邪魔されない、甘美なものです。
私は、何とかしてそれを書き留めようと努めるのですが、その世界に身を委ねて、その世界観を味わい尽くすことの心地よさに負けてしまうのです。
そして、それが書き留められなくても、その世界に身を委ねた結果なのだ、という紛れもない事実が私を慰め、励まし、活力をくれるのです。
すぐに寝付いてしまう人には味わえない喜びを私は味わっているのだ、と思えてなりません。
そんな世界に感謝して、私は、今日一日を生きます。