予備試験を地方で独学受験やってみた。そして受かった。

予備試験を、東京から遠く離れた地方で、予備校の答練を使用せずしました。

斜陽(by太宰治)の感想

斜陽

個人的には構成力の高さを感じたのは、この作品が一番です。

最も書きやすい「私」(「かず子」という女性)を主人公としていながら、他の登場人物にも、自然と筆者の価値観が投影されているようにも思うのです。

特に、私の弟の遺書の記述においては、これこそ筆者そのものではないか、とすら感じました。

そして時系列においても、ところどころ過去にさかのぼった記述(筆者が小説を書いている時点で既に過去の記述なのですが、その過去の中でも時間的な前後がある)があるのですが、それが全体の流れと調和しているのです。

この点もアマチュアが書くと、時系列が不自然であったり、分かりづらかったりすると思います。

私も、何か(小説化していない)物語を書くとき、時系列をどう表現してよいか、悩むときがあります。

また、一つ一つのまとまりで描かれる内容や表現が彼(太宰)特有のものが出ているのは、言わずもがな、です。

例えば、母の病状(病床)の叙述「私」による手紙での心境の吐露、などで、人間に対する深い考察がうかがえます。

そして、全体としての構成が不自然なく整っているからこそ、一つの表現が生きているのではないか、とも思うのです。