「若きウェルテルの悩み」を読み終えて
ついに、読み終えました。
薄さのわりに、中身が深く、やや難解な記述があったので、思いのほか時間がかかってしましました。
ゲーテ自身、この本について、自分のいろんな思いが含まれており、同じような本が十冊作れる、と言ったのも、うなづけます。
最後にいくにつれて、佳境に入っていくのがわかりました。
最後にウェルテルがロッテに詩を朗読して、双方が感情を高ぶらせるシーンは、独特だなぁ、と思い現代を生きる私にはやや現実離れしているように見えました。
おそらく、当時の高貴な人間特有の感覚なのでしょう。
また、詩の内容もやや現実離れしている感が否めませんでした。
神話的というか、何というか…。
かつてファウストを少しだけ読んだときの不可解さと、似たような感情が湧いてきました。
このように、やや小難しい記載もあった物語ですが、大筋はつかめ、作者の書かずにはいられなかった思いの強さも随所に表れていました。
どうすることもできない恋に悩むウェルテルには、青春期の自分を思い出し、少なからず共感しました。
現代でも賢い(と世間に言われて生きている)人間が恋に落ちると、こういう悩みをもつのだろうな、と思います。
また、私は、予想外の心境にもなりました。
ウェルテルの恋の相手、ロッテにも共感するところがあったのです。
私も、自分に深く思いを寄せている人がもし目の前にいたとしたら、哀れみ、何とか救いたい、と思ったでしょうから。
また、何故かそんな気持ちに、青春期になったような気が、しないでもないのです。
おそらく、この本をもって追体験したからだと思いますが、異なる時代を生きたゲーテによって、これほど鮮明に思い起こされるとは、不思議です。