口述試験 1日目午前 終了直後
1日目の午前の口述が終わってから、12時過ぎまで、待機室で待たされました。
私は、後の方だったので、30分ぐらいしか待ちませんでした。
ただ、その雰囲気が独特でした。
試験前の、体育館での並びとは異なっていて、体育館での前後が待機室での左右になる形式でした。
すると、私のすぐ先に(同一の試験官にあたって)受けた人が右側に、すぐ後に受けた人が左側にくる関係になります。
私は、発射台で待たされる時間が、一緒に移動した、どの受験生よりも長かったので、直前の人が長引いているのかな、となんとなく感じていました。
試験室に入室して、質疑応答が始まった瞬間、そこには見たこともない世界が広がっていました。それが何より衝撃的でした。
俗世間とは隔離された世界が広がっていました。
そして、主査と副査の口調や雰囲気から、その部屋で激しい戦いが繰り広げられた後の残骸のようなものをヒシヒシと感じました。
前の人(前の三人のうち誰か)に対して、キツく問いただしたのに、私に対して後半に入って疲れてきたからという理由で問いたださないのは不公平だ、という感覚から、キツく問いただされているようにも感じました。
とすると、先の誰かが、激しい戦いを繰り広げたのだろうか、と先の三人に思いを馳せました。
あの2番目の、ザッツできる男、みたいな人とか…と思いました。
ただ私は、終了後は、あんな知性と人間愛にあふれたお方がこの世に存在しているのだ、というまぎれもない事実に感動し、もっともっと頑張らなくては、と励まされました。そして、試験官の熱い情熱を感じた会話の余韻に浸っていました。
すると、すぐ右隣の受験生(若めの女性)が、こちらを気にしているようでした。「あの人、出来はどうだったのかなぁ」と思っているのが、明確に伝わってきました。体育館では、賢そうに見えたけれど、待機室では、ややイラついているようにも見えました。
そうこうしているうちに、私のすぐ後の人が着席しました。
パイプ椅子にもたれかかって足を投げ出し、ちょっと腐った態度でした。
すると、彼も、私の顔色をうかがっているようでした。
彼も、「あの人、出来たのかなぁ」と考えているように感じました。
確かに、一人の試験官の同じ質問に対して、順番に6人の受験生が答えるわけだから、試験官の受験生に対する心証は、前の人の出来不出来に多少なりとも左右される、と思えます。
そのことが、前後の受験生の共通認識となっているようで、全く会話していないにもかかわらず、意思疎通し合っているように感じました。
お互い論文式試験に受かっているから、努力した者同士リスペクトし合っている、というのと、この少人数の中で多少なりとも(成績というより心証の点で)相対評価となるのは、シビアだよね、という感覚が相まって、不思議な空間となっていました。
午前の試験終了後の待機室で、皆が座って黙って勉強している姿を見て、私の仲間が全国にこんなにたくさんいたんだ、と感動しました。
兄弟が一度に(15室×6人-1人(自分))89人増えた感覚を覚えました。
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