最近の私小説に見られる暗さについて
私小説は、私から見て暗いと思わせるものが多いです。
その究極的なものは、太宰治の「人間失格」ではないか、と思います。
物語として、幾分かの誇張はあるとは思いますが、読んだ後、人間の闇を見たような、暗い気分にさせられます。
そして、そのような私小説を読んだ人が、自ら小説を書いて純文学系の新人賞に応募して、受賞するとします。
すると、小説家を夢見る人が、そのような受賞作を読んで、自らの小説を受賞させるため、相場に合わせようとします。
そういうことの繰り返しで、私小説=暗い、という構造が出来上がってくるのかな、と思います。
ここで、暗いという私の表現には、読後感として希望や生命力を感じない、という意味が含まれています。
たまには、そのような光を見出だせる私小説も読んでみたいな、と思っています。