憧れの男性には、出会いたくない。
憧れの人、尊敬してやまない人、作曲家では、モーツァルト、文豪ではゲーテ、絵画ではモネ。プロ野球選手では、『この人』という人がいるのだが、まだ生きていて、会う機会があるからここでは言えない。
私が、彼ら(過去の偉人達)をこんなにも賞賛し、惜しみなく人生において精力を注げられるのは、きっと彼らが、もうこの世にはいないからであろう。
つまり私が彼らに影響を与えることはできず、一方的に彼らの素晴らしさを享受する立場にいるからに他ならない。
彼らを彼らたらしめている才能が詰まった作品に視覚的に、であれ私が触れているからである。生身の男性としての彼らを私は欲しない。
今まで、淡い恋心を抱いては、その度に幻滅させられてきた。
そういう心配が彼らには全くないのである。たとえ、人間的な、肉欲的な側面を感じさせるエピソードがあったとしても、それがまた、彼らが私と同じ人間だったのだと確信させるものとして、私を魅了してやまないのである。